こんにちは。
利用者です。
パラリンピック「車いすラグビー」、ご覧になりましたか?
とてつもない緊張感と迫力です。
男女混合競技ですので、一緒の試合に出場します。
以下は、ラグビー用車いすです。
(画像引用:→日本車いすラグビー連盟サイト)
攻撃用は細かいターンが出来るようにコンパクトに作製され、
一方、守備用は相手の動きを止めるためのバンパーが付いています。
今回は、障害に関する新聞広告について感想を記します。
(私個人の感想です)
【目次】
1.コカ・コーラの大きな広告
2.広告コピー「世界人口の15%が障がいを抱えている事実を。」
3.日本の障がい者数と割合
4.障がいは、「抱える」ものか? それとも「持つ」ものか?
5.日本語表現と英語表現について
6.障害者への差別解消呼びかけの一環
7.富山 就労継続支援A型事業所「コラーレ富山」
1.コカ・コーラの大きな広告
読売新聞2021年8月25日の大きな広告です。
文字が小さく表示されているかもしれませんので、コピーを以下に記します。
(改行は私が入れました。文丸の「+」は、実際は縦横とも5つの線です)
知っていますか?
世界人口の15%が障がいを抱えている事実を。
まずはこの事実を知り、この事実と向き合うこと。
それがよりよい世界へと進む第一歩となります。
チーム コカ・コーラは、
障がいの有無に関わらずあらゆる人が自分の個性を発揮して、
ポジティブに生きられる世界を目指します。
#TEAMCocaCola + #WeThe15
2.広告コピー「世界人口の15%が障がいを抱えている事実を。」
広告自体には、世界人口15%という割合の根拠や出典は記されていませんでした。
私の推測では、国際連合広報センターの以下の文章を根拠にされていると思います。
障害を持つ人々
およそ10億の人々が、何らかの形の身体的、精神的もしくは感覚的な障害に苦しんでいる。それは世界人口のおよそ15パーセントにあたる。障害者のおよそ80パーセンの人々は開発途上国に住んでいる。彼らはしばしば社会の主流から取り残される。差別はいろいろな形態を取り、教育や働く機会を拒否することから、もっと巧妙な差別、たとえば物理的、社会的障害を作って隔離と孤立をはかることまでさまざまである。障害についての認識や概念を変えるには、社会のあらゆるレベルで価値観を変え、理解を深めなければならない。
(以下省略)
引用→「国際連合広報センター」
または、国連障害者の権利条約事務局ウェブサイトの以下の文章が根拠でしょう。
障害を持つ人々に関するファクトシート
2013年12月04日
* 以下は、UN Enable (国連障害者の権利条約事務局ウェブサイト)がまとめたファクトシートの日本語訳です。
概 要
- 世界人口の約15%にあたる10億人が障害を持って暮らしている。彼らは世界最大のマイノリティである。
- 世界保健機関(WHO)によると、この数字は、人口増加、医学の進歩、および高齢化に従って増加する。
- 平均余命70歳以上の国の国民は、平均で約8年間、すなわち人生の11.5%を障害とともに過ごすことになる。
- 国連開発計画(UNDP)によると、障害者の80%が途上国に暮らしている。
- 経済協力開発機構(OECD)事務局によると、OECD諸国において教育水準の低い集団では障害者の割合が著しく高い。教育水準の高い人の障害率が約11%であるのに対し、低い人は19%である。
(以下省略)
ここには「世界人口の約15%にあたる10億人が障害を持って暮らしている。」と書かれています。
コカ・コーラの広告コピーの「抱える」という表現ではありません。
この表現の違いについては、後で述べます。
コピーの「世界人口の15%が障がいを抱えている事実」は、7年前のデータに基づいていることになりますね。
最新のデータが気になりますが、世界全体の人数ですから、毎年は調査されていないのかもしれません。
3.日本の障がい者数と割合
「障がい者」の定義と調査方法が異なるとは思いますが、日本においては、約963万人がなんらかの障害を有しています。
日本人口の約7.6%にあたります。
【内訳】
■身体障がい者―約436万人
■知的障がい者―約108万人
■精神障がい者―約419万人
(元資料→「障害者白書 令和元年版」)
詳しくは、→当事業所ブログ「(改訂版)日本の障がい者数、障害者手帳取得数、就労者数は何人だろう?」 をクリック願います。
世界と日本との差異については、ここでは触れません。
4.障がいは、「抱える」ものか? それとも「持つ」ものか?
以下は、私個人の感想です。
次の後半のコピーは共感します。
障がいの有無に関わらずあらゆる人が自分の個性を発揮して、
ポジティブに生きられる世界を目指します。
でも、冒頭の言葉遣いには「アレっ」と感じました。
次の太字部分の言葉です。
世界人口の15%が障がいを抱えている事実を。
この「抱えている」という言葉に引っかかりを持ちました。
私でしたら「障がいを持っている」と書きます。
又は、あらたまった文章ならば「障がいを有している」と書きます。
なぜならば、「抱えている」という言葉にマイナスのイメージと大仰さとを感ずるからです。
一方「持っている」「有している」という言葉からは、中立的なイメージがします。
換言しますと、
「抱えている」からは『悩みが大きすぎて難儀している』を、
「持っている」からは『獲得している』をイメージします。
ですので、私は「障がいを抱える」よりも「障がいを持っている」という表現の方が好きです。
実は「負う」という表現も好きです。
自分の障害と「向き合い引き受けながら生きていく」という潔さとたくましさを感じるからだと思います。
なお、広告コピーではなく、あらたまった文章では、「障害がある」「障害を有する」という言葉が使われているようです。
(20210906この三行を追記しました)
ちなみに、「抱える」と「持つ」を画像検索してみました。
「抱える」の画像はいかにも重いという感じ。
「頭を抱える」とも言いますし、
「借金を抱える」とも言いますし。
(画像引用:pixabay)
5.日本語表現と英語表現について
コカ・コーラは世界的な企業ですね。
そこで、障がいに関する英語表現を調べてみました。
コピーの表現を作るにあたりアメリカ本社のチェックなり指示があったと推測したからです。
まずは、日本のコカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社のホームページには次の表現がありました。(太字は私)
グループには、障がいをもつ社員が約350名在籍しています。
引用→同社サイト「障がい者の活躍を推進!コカ・コーラ ボトラーズジャパンベネフィット㈱特例子会社開所式を開催」(20191120)
「障がいを持つ」という表現を日本のコカ・コーラはお使いですね。
一方、アメリカ本部のサイトには次のことが記載されています。(太字は私)
If you are an individual with a disability and need a reasonable accommodation to assist with your job search or application for employment, please contact us by sending an email to disability-accommodations@coca-cola.com.
引用→The Coca-Cola Companyのサイト「Equal Employment Opportunity Employer」
上の文をGoogle翻訳を使用しますと、このように訳されました。
あなたが障害のある個人であり、就職活動や就職の申し込みを支援するために合理的配慮が必要な場合は、disability-accommodations @ coca-cola.comに電子メールを送信してご連絡ください。
さて、
一般的に障害者の英語表現は、五つ。
- person with disabilities
- disabled person
- handicapped person
- impaired person
- challenged person
現時点では、
一般的な表現は、1の”person with disabilities”。
流行っている表現は、5の”challenged person”。
(参考:「英語塾・六単塾」)
アメリカ本部の表現は、”individual with a disability” 。
(”individual”の日本語訳は、Weblioによりますと、
「個々の、各個の、一個人の、個人的な、独特の、特有の、個性を発揮した」。)
ということは、障がい者を「概念」(person)ではなく、「個人」(ndividua)として認めるニュアンスを色濃く出したものと私は思いました。
(私はこの表現と発想に共感しました)
【「抱える」と「持つ」についてのまとめ】
コカ・コーラのコピー制作者の意図を推察するに、
あえて「抱えている」という言葉を使うことによって、
「事実を知ろうとしない人々の無関心と旧弊な価値観を持つ社会こそが、障がい者に更なる困難を抱えさせるのだ」
という問題点を提起しているのかもしれません。
そうであるならば、「抱えている」という言葉が「たくましい言葉」に感じてきました。
85%側と15%側が手を組んで、世界を良くしていこうという力強さが思い浮かんできます。
(画像引用:pixabayご提供の画像を一部変更して使用)
ということで(何が「ということで」???)、
今回は私個人の感想を思いきって記しました。
言葉遣いは障がいの程度やご本人が置かれている社会情勢で異なるかもしれませんので、あくまで「私の感想」です。
【2021年9月14日追記】
このブログを三人の知人(30歳代、40歳代、60歳代・・・多分)に読んでもらい、感想を聞きました。
・一人目の感想は、
「言葉のイメージは人によって異なる。私は『持つ』よりも『抱える』の方が良い。
また、元々日本語では『ある』が自然な表現だと感じる」。
・二人目の感想は、
「これは、広告コピーだ。インパクトを与えるために日頃は使わない言葉を使用するのが広告。
だから、今回の場合も『持つ』ではなく『抱える』を使用したのだろう」。
・三人目の感想は、
「『持つ』は、障害が当事者だけのイメージ。
『抱える』は、障害が当事者も含め社会も巻き込んで広がりがあるイメージがあ
る」。
言葉に対しては、各人それぞれが異なった印象を持つものですね。
6.障害者への差別解消呼びかけの一環
【2021年9月21日追記】
まずは、「#WeThe15」についてのウィキペディアの説明を。(改行は私)
共生社会の実現に向けて「多様性と調和」を掲げ、2021年に開催された2020年東京パラリンピックにあわせて発表、開始された、社会の人々の障害者への意識を変え、世界中の障害者への偏見や差別をなくすための試みとして、国際パラリンピック委員会をはじめとする障害者スポーツを推進する団体や障害者の権利を擁護する団体、また非政府組織(NGO)および政府間組織、国連機関を含む国際機関によって企画されたキャンペーンである。
8月24日の開会式に合わせて、東京スカイツリー、レインボーブリッジ、東京都庁といった開催地、東京の建物だけでなく、アメリカ・ニューヨークのエンパイアステートビル、イタリア・ローマのコロッセオ、アメリカ・カナダ国境にあるナイアガラの滝、シンガポールのガーデンズ・バイ・ザ・ベイにあるスーパーツリーグローブやイギリスのロンドンにあるロンドン・アイなどの世界中の125か所以上のランドマークがシンボルカラーである紫色にライトアップされた。
紫の円グラフのロゴは世界に12億人いるとされる「何らかの障害のある人」の世界人口における割合である15%を表すもの。ハッシュタグはTwitter等で用いられる。
次に国際パラリンピック委員会アンドリュー・パーソンズ会長の東京パラリンピック開会式でのスピーチを。
私達は世界を変えたい。そのためにIPCと国際障害同盟とでWeThe15を立ち上げました。
今後10年間にわたり、WeThe15は、世界の15%にあたる何らかの障害を持つ人々がどのように認識され、扱われているのか、グローバルレベルで挑戦していきます。
20の国際機関、市民社会、企業、メディアの支援を得て、世界の12億人の障害者をインクルージョンアジェンダの中心に据えます。
(中略)選手のみなさんのパフォーマンスによってそれぞれの運命が変わるかもしれません。
しかし、最も重要なことは、みなさんが12億人の人生を永遠に変えうることです。
これこそが、人生やコミュニティを変革するスポーツの力なのです。変化はスポーツから始まります。
そして明日から、パラリンピックアスリートは世界を変えるために再びスタートを切ります。
念のため、コカ・コーラの2021年8月25日広告の全文を検索ワードに入れてみました。
いくつかヒットしましたので、リンクをご案内します。
→NHK「 IPC 世界人口の約15%にのぼる障害者への差別解消呼びかけ」(
→時事ドットコム→「コカ・コーラ社、障がい者支援国際ムーブメント「#WeThe15」を支援」
→Wikipedia「WeThe15」「#WeThe15」(ハッシュタグ・ウィー・ザ・フィフティーン)
→yahooニュース「コカ・コーラ社、障がい者支援国際ムーブメント「#WeThe15」を支援 サポートキャンペーンを順次展開配信」
コカ・コーラの広告は、運動の一環だったのですね。
そのために、「抱えている」という言葉でインパクトを与えたかったのでしょう。
7.富山就労継続支援A型事業所 コラーレ富山
(法人名)
一般社団法人 eiki social work
(設立)
平成26年6月
(利用者数)
12名(令和2年4月末)
(事業所名)
就労継続支援A型事業所「コラーレ富山」
(事業所番号)
1610101550
(利用定員)
20名
(事業内容)
福祉サービス業
障がい者自立支援法におけるA型事業所
(サービス内容)
産業廃棄物の分別・各種工具等のメンテナンス・PC関連など
(所在地)
〒930-0996 富山県富山市新庄本町3丁目1-13
(アクセス方法)
バス 向新庄口下車 徒歩3分
(電話番号)
076ー452ー3899
(FAX番号)
076ー452ー4025