こんにちは、利用者です。

10月に入り朝夕肌寒くなりましたね。

今回は、一見「後ろ向き」で「消極的」に感じられる言葉をご案内します。

 

それが、

将来にむかって歩くことは、ぼくにはできません。

将来にむかってつまずくこと、これはできます。

いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです。

 

これは、『変身』を書いたカフカという作家が恋人に送った手紙の一節です。

(『変身』は、朝起きたら自分が虫になっていたことから始まる小説です)

 

この言葉、

思わず「救われた!」という気持ちになりました。

 

前に歩けずつまずき起き上がれない辛さをわかってくれる人がいた!

と感じたからです。

さらには、

倒れたままでいることを恋人に自慢しているみたいだったからです。

普通でしたら、

倒れている姿を見られるのが嫌で、起き上がらなければと力みます。

でもなかなか立てません。

そして、そのうち自信を無くし不安になります。

「倒れたままでいること」ができないのです。

そして困ったことに、焦れば焦るほど疲れ果ててしまいます。

 

 

世間と折り合いを付けられないカフカ、弱いカフカを感じます。

でも、カフカは「開き直っている」わけではないと思います。

カフカは自分の現状を完全否定はせずに「こんな僕だけど仕方ないよね」と言っているようです。

「ささやかな自己肯定」、「土壇場の自己肯定」とでもいうのでしょうか。

弱い自分を「受け入れている」、「引き受けている」感じがします。

 ・
 
Franz_Kafka,_1923
 
フランツ・カフカ 画像引用:ウィキペディア)

 

さて、カフカの自己肯定はどこから生まれるのでしょうか?

 

その源泉は、カフカが「今の自分」に心を向けていることにあると思います。

「将来にむかって歩くことはできない」、「将来にむかってつまづく」、「うまくできるのは、倒れたままでいる」という「今の自分」にです。

「今の自分」を受け入れることが、「ささやかな自己肯定」につながっているのでしょう。

だから、カフカにとっては、歩かなくても、つまづいても、うまくいかずに倒れたままでも良いのです。

 

考えることを止めて、まずは「今の自分」の状態を仕方がないと受け止めることも良いのかなと思いました。

 

 

とは言うものの、倒れたままでいることは実際は辛いですね。

何日、何年も倒れたままでは苦しいです。

 

 

そこで、できるだけ倒れない工夫をしています。

「自分が乗っている飛行機が地面スレスレであっても良い。今、この瞬間さえ落ちなければいい」。

と考えることです。

 

「見栄えが悪い飛行であっても、今とりあえず浮いていたら十分」

と割り切ると、滅入ることが少なくなりました。

以上、倒れたままでいるブログでした~

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